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Porsche 911 (901)|誕生の裏側と小さな奇跡

1963年、フランクフルトモーターショーで世界に登場した“Porsche 901”。 その後“911”へと名を変え、60年を超えて生き続ける伝説の始まりとなった。 ここでは、初代にまつわる逸話と、知られざる開発の舞台裏を紹介します。

Porsche 911 (901)
ストーリー 01

“901”が“911”に変わったのは商標の問題だった

発表当初、正式名称は「Porsche 901」だった。 しかしフランスの自動車メーカー・プジョーが「0を中央に挟む3桁の数字」を商標登録しており、 “901”は販売できないことが判明。 そのため急遽“911”に改名された。 だがこの“1”の並びが結果的にアイコンとなり、世界中で愛される名となったのは有名な話。

現存する「901」ロゴ付き個体はわずか82台とされ、博物館級の希少価値を持つ。
ストーリー 02

フェルディナント・ポルシェの孫が設計した“若き情熱”

設計を主導したのは、創業者フェルディナント・ポルシェの孫、 フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ(通称ブッツィ)。 彼は後にポルシェデザイン社を設立するが、 若干28歳でこの911のフォルムをまとめ上げた。 その流れるようなラインは「永遠に古びないデザイン」として今も受け継がれている。

ストーリー 03

“356の後継”ではなく“新しいポルシェ”を

当時、356の人気は絶頂期。 だが社内では「より大きく、より速く、より快適なGTカー」を求める声が上がっていた。 901の開発は、単なる後継ではなく、 “ポルシェを次の時代へ繋ぐための橋”として位置づけられていた。

ストーリー 04

水平対向6気筒、空冷エンジンの採用は社内論争だった

開発初期、4気筒化・水冷化案も検討されたが、 技術責任者フリッツ・ヘルツが「911の魂は空冷フラット6でなければならない」と主張。 結果、2.0L 130PSのフラット6が採用され、 これが後の911哲学の礎となった。

ストーリー 05

当時から“リアエンジン”は異端だった

他メーカーが前エンジン・後輪駆動を採用する中、 ポルシェはリアエンジンを貫いた。 理由は「重量配分とトラクションの優位性」。 ドライバーが“後ろに重さを感じる”この特性こそ、 911特有のフィーリングを生んだと言われている。

開発段階でテストドライバーが「慣れれば最速」と評したという逸話もある。
ストーリー 06

室内に“木目ダッシュ”を採用した理由

901のインテリアはスポーツカーとしては珍しく、 クラシックカーを思わせるウッドパネルを装備していた。 これは“スポーツとラグジュアリーの融合”を狙った意匠で、 欧州GT市場を意識したものだった。 その後の911にも受け継がれる「スポーツラグジュアリー」の原点である。

ストーリー 07

“911”は偶然ではなく、必然の数字だった

名称変更後、ポルシェ社内では「911の方が言いやすい」「美しい」との声が多かった。 デザインチームも“1が3つ並ぶ形”をロゴに活かす案を出し、 以降すべての911世代が「911」というアイデンティティを背負うことになる。 ある意味で、この変更こそがブランドを永遠にした奇跡だった。

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