THE LOT.

Volkswagen The Beetle|逸話

愛されるアイコン。 1930年代のタイプ1をルーツに、2011年のザ・ビートルでついに“完結”を迎えた。 デザインの裏にある哲学や、細部に込められたユーモアを紐解きます。

Volkswagen The Beetle
ストーリー 01

「A5」——再構築

2011年に登場したザ・ビートルの開発コードは「A5」。 先代ニュービートルの「PQ34(ゴルフ4系)」を刷新し、より低く、よりワイドに。 可愛さよりも“ラグジュアリー&スポーティクーペ”を狙ったというのが開発陣の本音。 当時のチーフデザイナーは「次の50年に耐える形を」とまで語っている。

ストーリー 02

空力による曲線

先代よりルーフを低く、Aピラーを寝かせ、空力改善が目的とし後ろを絞った流線形に変更。 Cd値を0.38→0.34へ低減。 デザイナーは「女性的フォルムではなく、筋肉質な曲線」と定義していた。

ストーリー 03

ダッシュボードに“花瓶”がない理由

ニュービートルにはお馴染みの「花瓶(フラワーベース)」が付いていたが、 ザ・ビートルでは廃止。「装飾ではなく機能美へ」という理由で転換。 代わりに水平ダッシュ+メタルパネルでクラシック感を再構築した。

ストーリー 04

オーディオは“フェンダー”製——ギターの魂

サウンドシステムはアメリカのギターブランドFenderが監修。 ロック音楽を再生した際の“ライブ感”を最優先にチューニングされている。 車内にギターアンプのロゴが入るという異例の仕様。 Fenderシステム採用は世界初。

ストーリー 05

“GSR”と“Dune”——ビートル史を再現した限定車

GSR(Gelb Schwarzer Renner)は1973年の限定モデルを現代に復刻。 黄色×黒のストライプはオマージュであり、全世界3,500台限定。 一方“Dune”はバギー風のクロスオーバー仕様で、ビーチカルチャーを再現している。

ストーリー 06

実は“GTI譲り”の足回り

ザ・ビートル ターボはゴルフGTI(Mk6)と同じ2.0L TSIエンジンとサスペンションを共有。 見た目の穏やかさに反して、ステアフィールとブレーキ性能はホットハッチそのもの。 開発者は「GTIより丸く、GTIより速く」を掲げていたという。

ストーリー 07

リアウィンドウの“角度”は原点回帰

タイプ1を意識し、リアガラスは先代より立て気味に設計。 これにより、トランク容量は約70L増加。 そして開発時この角度が“ビートルらしさ”を演出する最重要項目であった。

ストーリー 08

デザインチームの合言葉は“永遠の輪郭”

デザインルームの壁面には、タイプ1のシルエットが描かれたポスターが貼られており、 どの角度から見ても「ビートル」と認識できる形を守ることが最優先にデザインがされた。 特に前後フェンダーの膨らみとサイドの張り出しは、数百回以上修正されたという。

ストーリー 09

ファイナルエディション——“別れの色”

2019年のファイナルエディションは、初代の“ビスケットベージュ”をモチーフに。 内装もツートンでまとめられ、シートパターンには1970年代を意識したファブリックを採用。 そのカラー名「セイ・グッバイ・イエロー」は“別れ”のメッセージを象徴。

ストーリー 10

空冷から水冷へ——“丸さ”だけが生き残った

初代の空冷リアエンジンから、FF+水冷へと変わっても残ったのは“丸”。 構造も時代も変わっても、その形を愛する人が世界中にいることが、 ビートルという存在が“車以上の文化”である証である。

タイプ1→ニュービートル→ザ・ビートル。この三部作で丸の時代はひと区切りを迎えた。
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