Mercedes-AMG G 63 / G-Class (W463A)|逸話
2018年、伝説は殻を破って総入れ替えへ。 角張ったシルエットのまま、フレーム、足回り、操舵、電子制御は一新。 現行Gクラス(W463A)とAMG G 63の知られざる舞台裏を集めました。
中身は“別物”——W463Aの正体
フレーム剛性、サスペンション、ステアリング、内装構造まで刷新。 外観記号(ドアハンドル、ヒンジ、ウインカー、背面タイヤ)を“わざと残す”ことで、継承と技術進化を高次元で両立させた。
グラーツ生産と“シュテークリンゲ”(Schöckl)試験
伝統にならってオーストリア・グラーツで組立。開発段階から標高1,400m級の“Schöckl”山道でテストするのもお約束。 “Schöckl Proven”の哲学を継承し、量産車にまで試験思想が落とし込まれている。
フロントのダブルウィッシュボーン化の狙い
フロントを独立懸架(ダブルウィッシュボーン)へ。オンロードの正確性と荒地での舵角確保、 そしてV8ビターボのパッケージングと自由度を狙った意図がある。フレーム上に高剛性メンバーを設けて最低地上高も確保した。
“G-MODE”——オフロード時だけの人格
デフロックもしくはローレンジ選択で自動的に“G-MODE”へ。スロットル、シフト、ダンピング、ステアを一括最適化し、 砂・岩・泥でのトラクションを粘らせる。オフロード走行時“無理せず速い”のが現行Gの真骨頂。
ドア“ヒンジ”の音響設計
ドアの閉まる音は象徴そのもの。ラッチの歯形状、ウェザーストリップの復元力、キャッチ側金具の質量まで調律されている。 金庫のような“メカ音”を守りながら、気密・遮音の数値も突き詰められて設計がされている。
AMG G 63——4.0L V8ビターボと9速の“厚み”
G 63はAMG 4.0L V8ビターボ×9速AMG SPEEDSHIFT。太い中低速トルクを“どのギアでも出せる”味付けで、 サイド出しエキゾーストは低域の量感と高回転の割れない金属音となるよう設計されている。
三つのデフロック——“伝統”を残したまま電子統合
センター→リア→フロントの順でロックする伝統の三連スイッチは現行になっても健在。 ただし駆動配分やブレーキ制御は最新ECUと連動し、滑り方に応じて最適化。荒地での“推進力”は旧型以上を遥かに凌ぐ。
Cd値より“直線”——角を守るための空力妥協と工夫
角ばった形状は空力的に不利だがそれでもウインカー・ヒンジ・背面タイヤを残すため、 底面の整流や冷却気流の管理で実用域の安定性を稼ぐ戦略を採用している。
G manufaktur——“色のGクラス”という贅沢
ボディカラー、インテリアレザー、パイピング、ステッチ、ベルト色まで自由度が高い“G manufaktur”。 マット塗装やクラシック色のリバイバルも用意され、スクエアな形だからこそ色で“語れる”のが魅力。
伝統と進化のディテール
フェンダー上の独立ウインカーは“視認の記号”としてあえて残された。ドアの開度は悪路での安全確保のためこちらもあえて広めに設定している。 リアは堅牢なリジッドを守り、荷重変動時の接地を重視する“Gクラスらしさ”を貫いた。