Mercedes-Benz Sクラスクーペ (C217)|逸話
“最後の2ドアS”と呼ばれたC217。 名称復活の背景、デザイン哲学、希少性の理由、そしてV12が奏でる静かな雷鳴まで。 Sクラスクーペという芸術作品の裏側をひも解きます。
「CL」から「Sクーペ」へ——名称復活の意図
C215/C216の「CLクラス」はメルセデスの2ドア・フラッグシップの名家。その後継であるC217は、再び「Sクラスクーペ」として登場したが リブランディングではなく「4ドアと同格の頂点」を具現化し、もうひとつの象徴を作るため生まれた。
ワイド&ローは“視覚優先”のプロポーション設計
実はSクラスセダンよりホイールベースを短縮されている。逆に全幅を拡げて“ワイド&ロー”を演出している。 設計は数値でなはく「光の流れ」に重きをおき、フェンダーもミリ単位で調整している。 結果として、静止していても“動きを感じる”躍動感のあるフォルムが誕生した。
“セカンドS”という顧客像とガレージの美学
C217のメインターゲットは他モデルや他ブランドのカスタマーではなく、既にSクラスセダンを所有する顧客であった。 実用ではなく、美意識のために存在する——そのためSクラスクーペは“ガレージの中のジュエリー”と謂われる。
なぜ「最後のSクーペ」と呼ばれるのか
C217の生産終了をもって、Sクラスの2ドアは歴史に幕を下ろし、後継はなくクラシカルな「Sクーペ」という概念はこの世代で終焉。 現時点でも、新たなSクラスクーペの生産計画は存在せず。
市場で見かけない——手放されない理由
もともとの販売台数が少なく、所有満足度も高いため、手放される個体が極めて少ない。 特に2017年以降のS550/S63/S65は長期保有される傾向が強く、「探すこと自体がすでに購入体験」と言われるほどの希少モデル。
“サイレント・サンダー”
AMG S65専用に設計された排気システムは、V12ツインターボの重厚さと静粛性という矛盾が共存、それでも両立するための“二重共鳴チャンバー”構造になっている。 ほぼ知られていない開発コードネームは「Silent Thunder(静かな雷鳴)」。 意味合いとしては「音圧よりも響きの余韻」で、知的で贅沢なサウンド設計がされている。
designo特別色:手吹き2層の“彫刻的”ボディ
特別塗装「designo」シリーズでは、メタリック層と透明パール層を熟練の匠が手作業で塗布。 20時間以上の時間をかけた2層塗装は、光の角度でボディラインを立体的に浮かび上がらせる、 まさに工芸的な仕上げ。