2026年のPorsche Carrera Cup Japan(PCCJ)は、すべてのレースを終えました。
しかし、来シーズンに向けてサーキットを知る時間は、まだまだあります。
今年のPCCJは、第8戦の鈴鹿から最終戦の富士まで、非常に短い期間の中でレースが続きました。
そのため、レースを追いかけることに集中する一方で、各サーキットのひとつひとつのセクションをじっくり紹介する時間はなかなかありませんでした。
そこでTHE LOT.では、2027年のPCCJに向けて、富士スピードウェイを少しずつ掘り下げていきます。
前回は、長いホームストレートの先にある1コーナー(TGRコーナー)を紹介しました。
高速域から一気にブレーキングし、オーバーテイクやポジション争いが繰り広げられる、富士を代表する勝負どころです。
そして今回は、その1コーナーを抜けた直後に待っている「2コーナー」を紹介します。
まず、今回も名前について少しだけ。
富士スピードウェイのこのコーナーは、正式には「第2コーナー」と呼ばれています。
レースやサーキット走行の現場では、分かりやすく「2コーナー」と呼ばれることが多いため、今回の記事でも「2コーナー」という呼び方で進めていきます。
1コーナーのすぐ先にある、短く見えるコーナー。
しかし、ここは単なる「1コーナーの後の小さなコーナー」ではありません。
1コーナーで大きく減速したマシンを、どれだけ早く加速状態へ戻せるか。
2コーナーは、そんな重要な役割を持ったセクションです。
2コーナーを理解するうえで、まず知っておきたいのが1コーナーから2コーナーにかけての高低差です。
1コーナーのブレーキングを終えると、コースは大きく下っていきます。
富士スピードウェイは、最大下り勾配が10.05%にもなるサーキット。
その特徴を感じられるのが、この1コーナーから2コーナーへ向かう区間です。
1コーナーで強烈なブレーキング。
そこからマシンの向きを変えながら下っていく。
そして、その先に待っているのが2コーナーです。
つまりドライバーは、単純に「1コーナーを曲がったら2コーナー」という感覚ではなく、高低差によって変化するマシンの姿勢まで考えながら走る必要があります。
正式名称:第2コーナー
通称:2コーナー
特徴:1コーナーからの下りと緩い右コーナー
ポイント:早い段階から加速状態へ移行する
次のコカ・コーラコーナーへ向けた速度作りも重要
前回の1コーナーとは、役割が大きく違います。
1コーナーでは、
「どこまで速度を落とせるか」
が重要でした。
しかし2コーナーでは、
「どれだけ早く速度を戻せるか」
が重要になってきます。
1コーナーで大きく減速したマシンは、2コーナーに向けて再び加速していきます。
ここでアクセルを開けるタイミングが遅れれば、その後の直線区間でも速度差が残ります。
逆に、マシンをきれいに向けて早い段階でアクセルを開けることができれば、その先の加速につなげることができます。
つまり2コーナーは、
「コーナーを曲がる場所」であると同時に、「次の直線を速く走るための準備をする場所」
なのです。
PCCJのカップカーに乗っていると考えてみましょう。
1コーナーで強くブレーキを踏み、マシンの速度を落とす。
そこからステアリングを使ってマシンの向きを変える。
そして2コーナーへ。
ここで重要になるのが、アクセルをどのタイミングで開け始めるかです。
早くアクセルを開ければ、その分だけ加速する時間を長くできます。
しかし、マシンがまだ十分に向きを変えられていない状態でアクセルを開ければ、タイヤに大きな負荷がかかります。
特に下り区間では、マシンの荷重も変化します。
そのため、
「早く踏む」ことと「雑に踏む」ことは、まったく違います。
マシンがどの方向を向いているのか。
タイヤがどれだけグリップしているのか。
そして、どのタイミングならアクセルを開けてもマシンが安定するのか。
それを判断する必要があります。
2コーナーでは、単純に「早くアクセルを踏む」ことだけを考えない。
重要なのは、マシンの向きを早く整え、安定した状態でアクセルを開けること。
そして、その加速を次のコーナーまでつなげていくことが重要です。
実は、2コーナーを攻略するためには、2コーナーだけを見ていてはいけません。
重要なのは、その前にある1コーナーの出口です。
1コーナーへの進入で無理をしてしまう。
↓
1コーナーの出口でマシンが大きく膨らむ。
↓
2コーナーへの進入が遅れる。
↓
アクセルを開けるタイミングも遅れる。
↓
その先の加速区間でも速度を失う。
こうなってしまいます。
逆に、1コーナーをきれいにまとめることができれば、2コーナーへのアプローチもスムーズになります。
だからこそレーシングドライバーは、コーナーをひとつずつ独立して考えるのではなく、「次のコーナーへどうつなげるか」を考えています。
前回の1コーナー編では、1コーナーが大きなオーバーテイクポイントだと紹介しました。
では、1コーナーで前に出たら、それで勝負は終わりなのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。
1コーナーで前に出たマシン。
その後ろを追いかけるマシン。
2コーナーでは、両者の距離が非常に近い状態になることがあります。
ここで重要なのが、1コーナーから2コーナーへの立ち上がりです。
前のマシンが少しでも加速で遅れれば、後ろのマシンが再び差を詰めてきます。
逆に、2コーナーをきれいに立ち上がれば、後続との距離を少しずつ広げていくことができます。
つまり2コーナーは、1コーナーで得たポジションを「守る」ための場所でもあるのです。
富士スピードウェイの面白いところは、ひとつのコーナーを攻略したと思ったら、すぐ次のコーナーがやってくることです。
2コーナーの先に待っているのが、コカ・コーラコーナー。
2コーナーからコカ・コーラコーナーまでは、加速しながら短い直線区間を走ります。
だからこそ、2コーナーでどれだけ速度を乗せられるかが、その先にも影響してきます。
2コーナーで早く加速できる。
↓
直線で速度が伸びる。
↓
コカ・コーラコーナーへの進入速度が高くなる。
この流れを考えると、2コーナーの重要性がより分かりやすくなります。
富士スピードウェイ公式のコース解説でも、2コーナーはギアアップしながらフル加速して直線区間へ続くセクションとされています。
つまり、この場所ではマシンがコーナーを抜けていくにつれて、ドライバーは徐々に加速へ移行していきます。
ブレーキを使って速度を落とす。
↓
ステアリングでマシンの向きを変える。
↓
アクセルを開ける。
↓
ギアを上げる。
↓
さらに加速する。
この一連の操作が非常にスムーズにつながれば、2コーナーをきれいに攻略できたと言えるでしょう。
レーシングドライバーの走りを見ていると、アクセルを開けるタイミングが非常に早く見えることがあります。
しかし、それは単純に「とにかく早くアクセルを踏んでいる」というわけではありません。
マシンが安定している。
タイヤがグリップしている。
向きが変わっている。
次のラインが見えている。
そういった条件が揃った瞬間に、アクセルを一気に開けていきます。
だからこそ、
アクセルを早く踏めるドライバー=単純に勇気があるドライバー
ではありません。
「踏んでも大丈夫な瞬間」を判断できること。
これもレーシングドライバーにとって非常に重要な能力です。
2026年のPCCJ最終戦、富士スピードウェイは激しい雨に見舞われました。
今回の写真も、そんな雨の富士を象徴する一枚です。
雨が降れば、当然タイヤのグリップは低下します。
そして2コーナーでは、1コーナーからの下りとマシンの荷重変化を感じながら、アクセルを開けていく必要があります。
乾いた路面ならアクセルを開けられる場所でも、濡れた路面では同じようにはいきません。
早く開けすぎれば、リアタイヤがグリップを失う可能性があります。
逆に慎重になりすぎれば、今度は加速でライバルに差をつけられてしまいます。
雨の2コーナーでは、
「どこまで踏めるか」ではなく、「どこから安定して踏み続けられるか」
という考え方が重要になります。
雨の2コーナーでは、1コーナーからのマシンの動きを丁寧に感じる。
路面のグリップを確認しながら、アクセルを段階的に開けていく。
無理に早く踏むのではなく、その先まで加速をつなげられる操作を意識する。
2コーナーを観戦するときは、コーナーへの進入だけではなく、ぜひ出口に注目してみてください。
1コーナーを抜けてきたマシンが、2コーナーへ入ってくる。
そして、コーナーの途中から少しずつアクセルを開けていく。
そこからマシンが一気に加速していきます。
同じカップカーでも、2コーナーの出口での加速にはドライバーによる違いが出ます。
「どのマシンが早くアクセルを開けているのか」
「出口でマシンがどれくらい安定しているのか」
「2コーナーを抜けたあと、どれだけ速度を伸ばしているのか」
そんなところを見ると、2コーナーの面白さがより分かってきます。
01 1コーナーからの下り
1コーナーを抜けたあと、コースは大きく下っていきます。 この高低差がマシンの挙動にどのような影響を与えているのかに注目です。
02 マシンの向きを変えるタイミング
2コーナーでは、早く加速するためにもマシンを早く安定させることが重要です。
03 アクセルを開けるタイミング
早すぎても遅すぎてもいけない。 マシンの状態を見ながらアクセルを開けていくところがポイントです。
04 ギアアップ
2コーナーを抜けていくにつれて、マシンは一気に加速していきます。 ギアを上げながら速度を伸ばしていく姿にも注目です。
05 コカ・コーラコーナーへのつながり
2コーナーは単独で攻略するのではなく、その先のコカ・コーラコーナーまで含めて考えることが重要です。
01 1コーナーからの下り
02 マシンの向きを早く整える
03 アクセルを開けるタイミング
04 ギアアップしながら加速
05 コカ・コーラコーナーまで速度をつなげる
今回、2コーナーを紹介してきました。
しかし、この記事を書いていて改めて感じるのは、2コーナーは単独で考える場所ではないということです。
ホームストレート。
↓
1コーナー。
↓
2コーナー。
↓
そしてコカ・コーラコーナー。
この一連の流れが、ひとつのセクションとしてつながっています。
1コーナーでは、強烈なブレーキング。
2コーナーでは、マシンを安定させながら加速。
そして次のコカ・コーラコーナーへ。
「止める」から「曲げる」、そして「加速する」。
2コーナーは、その切り替えが非常に分かりやすく表れる場所なのです。
そして2027年のPCCJでは、ここにも新しい楽しみが加わります。
これまで使用されてきたType 992.1の911 GT3 Cupから、新型911カップ Type 992.2へ。
2026年に1年間カップカーを経験したKiyominが、今度は新しいマシンで富士を走ることになります。
新しいブレーキ。
新しい空力。
新しいマシンの挙動。
そして、新しいマシンでのアクセルワーク。
特に2コーナーのように、コーナー出口から加速していく場所では、マシンの特性がどのように感じられるのかも興味深いところです。
2026年に学んだことを、新型911カップでどう活かしていくのか。
2027年は、そんなところにも注目していきたいと思います。
今回は、富士スピードウェイの2コーナーを紹介しました。
1コーナーで大きく減速し、そこから下りながら2コーナーへ。
マシンの向きを整え、アクセルを開け、ギアを上げながら一気に加速していく。
一見すると短いコーナーですが、その中にはレーシングドライバーが考えていることがたくさん詰まっています。
そして、その先に待っているのがコカ・コーラコーナーです。
ここから富士スピードウェイは、高速コーナーをつないでいくセクションへ入っていきます。
次は、2コーナーから加速したマシンが向かっていく、富士を代表する高速コーナー。
1コーナー、2コーナーを抜けたマシンは、そこから一気に加速していきます。
そして、その先に待っているのがコカ・コーラコーナー。
ここは2コーナーまでとはまた違った難しさを持つコーナーです。
2台並んだまま進入することもある。
オーバーテイクの駆け引きもある。
そして、出口の先にはさらに高速区間が続いていきます。
さらに、コカ・コーラコーナーは出口が見えづらく、アクセルを開けるタイミングの判断も難しい場所です。
次回は、富士スピードウェイ「コカ・コーラコーナー」をレーシングドライバーの視点から詳しく紹介します。
富士スピードウェイ
「コカ・コーラコーナー」
2コーナーから一気に加速した先に待つ、
次の勝負どころです。